○○しないと出られない部屋
「……だいぶ理解が深まったんじゃねぇか?」小さな膝の上に不釣り合いな程分厚い歴史書。いかにも歴史書らしい重厚で威厳のある装丁を、白くて細い指が支えている。ちょうど解説していた章が終幕を迎えるところで、丁寧に文字を辿っていた指先が止まった。「…
レオ監 文章~10000字,レオ監
鳥籠なんて似合わない
目が覚めたら青い小鳥になっていた。なんてどこかの小説や童話や絵本から飛び出してきた物語が自分の身に起きているのに、それを冷静に受け止めている自分はいよいよこの世界に染まってきたなぁ、とどこか他人事のように感じてしまう。起きたら異様に低い視界…
レオ監~5000字,ss,レオ監
陽だまりに水を差してはならない
お前も昼寝すればいいんじゃねぇか、とは言った。言ったのは俺だ。ウトウトと陽だまりのあたたかさに包まれて今にも船を漕いでしまいそうなユウに、眠たいなら寝ればいい、と。確かに言った。それはもう間違いなく。誤魔化しようのないくらいに。だからと言っ…
レオ監〜1000字,ss,レオ監
真昼の太陽と赤い頬
たまたま偶然、こんな状況になってしまっただけで。俺は何も悪くない。言い訳みたいに聞こえるかもしれないが、俺は普段からコイツは女であると充分気をつけていたし、女性であるユウに対して敬意を払い彼女を尊重するように、意識して距離を保ってきた。それ…
レオ監~1500字,ss,レオ監
未熟なプリムラは肩を寄せ合う方法を知らない。
「あ、レオナ先輩」 寒空の下、購買部からの帰り道。耳に馴染む声に振り向くと、毛玉を頭に乗せてトコトコとこちらへ歩いてくる草食動物の姿が見えた。ゆらりと尻尾を揺らして待ち構えていると、ユウは微笑みながら、こんにちは、と丁寧に挨拶をしてみせる。…
レオ監~5000字,ss,レオ監
おしりにシッポが生えちゃった!
「遅い! 呼び出したらすぐに俺の元へ来るという当たり前すら、お前には躾直しが必要なのか!」魔法薬学の準備室に入った途端、飛んできた怒号に耳を臥せる。思わず寄った眉もそのままにして、不快であることを思い切り顕わにした。そんな俺の様子を全く気に…
レオ監~30000字,レオ監,同人誌サンプル
芽生え
「うーん……ここは、こう? だから……えっと、こう? かな?」首を傾げながら、指で丁寧に文字の羅列を辿っていく。それに合わせてノートにペンを走らせると、見知ったようで何処となく違和感のある文章が出来上がった。「……あれー? やっぱり違うなぁ…
レオ監~20000字,レオ監,同人誌サンプル