ふ、と目を覚ますと、見慣れた肌の色が目の前に広がった。すり、と肌に寄り添って、自分とは正反対の色をした肌を撫でる。そっと胸に手を置いて、とくん、とくんという鼓動を指先に感じてから、厚い胸板に耳を寄せる。とくん、とくんと規則正しく聞こえてくる心音にホッとして、そろりと離れると、優しく頭を撫でられた。
「どうした?」
先生の指先が柔らかく私の髪を梳いていく。その感触が心地よくて、ぎゅっとまた身を寄せた。
「なんでもないよ」
透視なくても、生きてることを感じられるって、素晴らしいな、なんて。柄にもないことを感じていたなんて、恥ずかしくて言えない。
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