そして素直に愛を伝える。 - 1/3

そして夜は更けていく。

「なんで敢えてこの日に先生と任務なワケ?」

はぁ、と溜め息を吐いてウンザリした風に呟くと、同じように、はぁ、と溜め息を吐いた先生もウンザリした様子で返事した。

「もうそれ何回も聞いた。しょうがねぇだろ? 今回みたいな任務は俺ら向きなんだって」
「そっちこそ。毎回同じ返事して、変わり映えしないわね」

ちょっとは面白味のあること言ったらどうなの? とそっぽを向くと、ちらりとこちらを見た先生がまた視線を前に戻して口を開いた。

「つまんねぇ男で悪かったな。それより、そろそろ気を引き締めとけよ」
「……わかってるわよ」

チャ、と銃を構え直して突入に備える。今日の任務はあくまで警察のサポート。裏取引の確実なウラを取る為にバベルに援助を求めてきた彼らは、私たちの透視内容を元に突入の準備を進めている。私たちは後方支援。手の中にある高校を卒業してから相棒を勤めてきてくれたそれの感触を確かめた。

「拳銃ぶっ放すなよ? こんな日に大事おおごとは流石に避けてぇから」
「素直に始末書書きたくないって言えばいいのよ」
「おい! マジで頼むから打つなよ! 今日俺らには発砲許可出てねぇんだからな!」
「……わかってるわよ」
「その間が怖えんだよ、その間が!」

チッと舌打ちしながら先生は警察の部隊に伝達事項を伝えに行ってしまった。その姿を見送って、ふぅ、とバレないように息を吐く。
今日はクリスマス・イブ。折角なら楽しいイブを過ごしたかった。でも、薫ちゃんは皆本さんと、葵ちゃんはバレットとクリスマスデートだ。恋人たちの聖夜、なんて誰が決めたんだろう。独り身の私は大人しく仕事してろってことかしら。
あーあ、卑屈で嫌になっちゃう。壁に凭れて先生の戻りを待っていると、警察と話終えた先生が私のところへ戻ってきた。

「もう一回確認。警察が突入して取引してるやつらを押さえる。んで、俺らがもっかいブツとホシを透視。二一三五に作戦開始。以上だ。いいな?」

先生の言葉にこくりと頷くだけで返事して、先生の隣に並ぶ。時計を確認すると九時三二分を差していた。犯人たちは多少の武装はしているけれど、それほどの驚異ではない。確保は多分警察に任せておいて問題ないだろう。先生がホルスターから拳銃を取り出したのに合わせて私も拳銃を構える。警察官達が配置について、あっという間にカウントダウンが始まった。ゆっくりしたテンカウントの後、勢いよく警察が中へと入っていって、私たちはその様子を後ろから窺う。中からの合図で私たちもいつでも拳銃を使える状態にして中へと入っていった。

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