「……めちゃんこ可愛いじゃん」
「当然でしょ?」
「あと、すんげぇ色っぽい」
仕事上がり、研究室で待っていたら、時間通りに紫穂が部屋を訪ねてきた。
俺の研究室なのを良いことに、するり、と髪を上げた項に触れようとすると、ぴしゃりと手の甲を叩かれて。
「花火に連れてってくれるんじゃないの?」
約束破ったら承知しないわよ、と人を殺せる目で紫穂は俺を睨み付けた。
その表情に渋々伸ばした手を引っ込めて、帰宅の準備を整える。
「わかってるよ。ちゃんと浴衣で来てくれた紫穂ちゃんに、ご褒美あげないとな」
籠を持ってない方の手をさらりと掴まえて指を絡める。
少し頬を染めてそっぽ向いた紫穂に優しく笑い掛けながら、駐車場へと向かった。
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