私たちは、合わせ鏡だ。
お互いが向き合うと、足りないもの、欠けているものがよく見える。
ましてや、私たちは鏡の中に触れられる能力を持っていて。
それなのに、触れてしまうのが怖くて、お互いガラスを撫でているだけ。
それで満足していると思い込んで、お互い鏡に向かってそっと愛を囁いて。
パズルのピースを嵌めるように、お互いを埋め合わせて生きていることに気付かないフリをして、私たちは手を取り合って歩いてきた。
でも、これがあるから相手に触れられない、と理由付けをしていたガラスの板は取り払われてしまって。
枠だけになってしまった鏡の向こう、鏡がなくなっても貴方はそこに存在して。
この枠すらも取っ払って、貴方に触れたい、貴方とひとつになりたいと思うのは、私だけなの?
0
コメントを残す