ただの先輩と後輩だったレオナとユウ。あることがきっかけで天真爛漫で悩みなんてなさそうなユウの生い立ちを知ることになったレオナは、自分の生い立ちや境遇と比較して、どうしてユウは笑っていられるのかが気になり始める。ユウはある思いからレオナに付き纏うようになるが、男子校のなかでそれを隠すことなくアピールするため、時に目を付けられトラブルに巻き込まれたりする。マブたちや先輩たちは揶揄いながらもユウの真摯な想いを受け止め、ユウとレオナの仲を見守るようになる。諦めずにユウがまっすぐレオナを想い続ける姿と、不器用ながらも恋とも名付けられないような初めての感情に戸惑うレオナの姿に、次第にサバナクローの寮生をはじめ、全校生徒が心を打たれ、ユウとレオナの仲を応援するようになっていく。
たくさんの応援と手助けのなか初めてのデートを終えた二人は、二人でいることが当たり前となり、周りから見ても公認カップルのように扱われることが増えた。そんな中、チェカが学校の行事で再び来訪し、二人の親密な関係を目の当たりにする。ユウがこの世界の人間ではないことを知ったチェカは、レオナと親密な関係を築くユウに嫉妬し、ユウを排除しようとする。改めてレオナが王族であることを突きつけられたユウは、この世界に来てやっと手に入れたと思っていた自分の居場所も本物の居場所ではないと思い知り、レオナから離れようとする。何よりも自分の居場所が欲しいとユウが願っていることを知ったレオナは、ユウのために自分でなければできないことをしてやろうと決意し、四年の研修先を東方の国と決め、自分が東方の国との国交を繋ぐ代わりにユウに夕焼けの草原の国籍を与えるよう兄王と契約を交わし、レオナは四年の研修を迎える。
東方の国は水の精霊とその加護を受けた巫女が治める国であり、他国と国交はあるものの、どの国とも交流は積極的なものではなく、夕焼けの草原との国交もとても薄いものだった。レオナはあまり知られていない自分の国とは違う神秘さを持つ東方の国であれば、ユウが元の世界へ帰る方法も見つかるのではないかと巫女の元を訪ねる。全てを見通していた巫女はレオナの来訪を歓迎し、レオナに『レオナが心から最も望んでいるもの』としてひとつの魔法を授ける。その魔法はレオナのユニーク魔法と同時に発動させることで、魔法を掛けられた存在から仮の姿を奪い本来の在るべき姿に還すというものだった。その魔法を本来この世界にいるべきではないユウが元の世界へ帰すことができる魔法だと思い込んだレオナはユウを東方の国へ呼び寄せる。東方の国へやってきたユウは、巫女の導きで真実を写す水鏡の前に連れて来られる。本来の姿を写すというその水鏡にはユウの姿が映らず、それはユウがこの世界の住人ではないことと、あることを隠しているからだと巫女に告げられる。レオナは水鏡に写らないユウの姿を見て、ユウを元の世界に返さなければならないと更なる決意を固め魔法を発動させようとするがうまくいかない。巫女は、ユウが隠している本心を曝け出し自ら在りたい姿を望まなければその魔法は成功しないと指摘する。ユウは、レオナが自分を元の世界へ返そうとしてくれている手前言い出せなかったが、本当は居場所のない元の世界に帰りたいという思いはなく、みんなが居て自分の居場所を作っていけるこの世界に止まりたいという思いを告白する。すると魔法はうまく発動し、ユウは元の世界へ帰るための道標を失い、新たにこの世界で生きるための姿を手に入れた。ユウは自らが望んでいた結果を手にすることができたため喜んだが、レオナは自らが発動させた魔法でユウが元の世界に戻るための唯一の道標を奪ったと感じ、ユウと距離を取るようになる。
研修を終え自国に戻ったレオナは四年生の研修としてラギーを自分の元へ呼び寄せ、自らの公務を補佐させる傍ら、ユウへの国籍付与の業務をラギーに丸投げする。経緯を知らず、レオナが突然ユウを突き放したように見えていたラギーは反発しつつも真実を探ろうとする。そこでわかったのはレオナが東方の国との国交を繋ぐため、東方の国の姫と政略結婚をすること、そしてそれを交換条件にユウへ国籍を与えることだった。ユウがまだレオナのことを想っていることを知っていたラギーは、何とかして頑ななレオナが考えを改める状況を作れないかと暗躍し始める。
そして学校を卒業しレオナの第一秘書官となったラギーはジャックとユウ、そしてグリムを四年の研修先として呼び寄せる。しかし、レオナもラギーの策に乗る気はなかったので、ユウの研修のみを取り消し、ジャックとグリムだけを受け入れるよう通達していた。門前払いを食うユウは国籍を付与してもらった恩返しがしたいと訴えるが魔法の使えない者は帰れと受け入れてもらえず、グリムを残し学園へと帰ろうとするが、レオナの通達に気付いたラギーが何とか王室内でユウを受け入れてくれる部署を探し出し、何とかユウは王宮の中で使用人として働くことになる。グリムやジャックと離れ離れになったものの、使用人として働き始めたユウは、住み込み宿舎で同室になったターシャと出会う。ターシャはレオナの婚約者のために雇われた専属のメイドであり、そこでユウは初めてレオナに婚約者がいたことを知る。ターシャからレオナの婚約者のことを聞いているうちに、やはり自分は場違いで不釣り合いであること、それでもレオナを諦めることはできないことを悟り、レオナを想いながらも自分は王宮から去った方がよいのかもしれないと思い始める。去る前に一度だけレオナの婚約者がどんな人なのか見定めたいと思い、ユウは婚約者に会いに行くが、ユウの強い想いに触れ、婚約者自身も国に想う人がいて、その人と添い遂げると心に決めていたが国交のためと泣く泣くこの婚約を受け入れたことをユウに告白する。そして、ユウが強い想いを胸にレオナを追い掛け続けていることに心を打たれ、自らも自分の想いに素直になると言い出し婚約破棄をレオナに願い出て婚約者は国へと逃げ帰ってしまう。レオナは東方の国の巫女に話が違うと訴えるが、巫女は『レオナが心から最も望むもの』を授けたというばかりで取り合ってくれない。混乱を極める王宮のなかで、状況を静観していた兄王が、だったらユウを婚約者とすればいいと鶴の一声を上げる。そもそも兄王はレオナが国籍を与えたい人物がいると言ってきた時点でその人物はレオナにとってかけがえのない存在なのだと察し、その人物と結婚するものだと思っていた。それなのに東方の国から帰国したレオナが東方の国の姫と政略結婚を結ぶことを決めており、どうも国籍を授けたい人物と東方の国の姫君は別人らしいということを知り、レオナが国籍を授けた人物を秘密裏に探っていた。そしてその人物がユウであり、レオナにとって大事な人であると悟った兄王は政略結婚なんてしなくてもユウと添い遂げればいいとレオナに告げる。巫女からユウが水の精霊の加護を受けていることも聞かされていた兄王は、ユウが東方の国の人間でなくとも東方の国の水の精霊の加護を受けているのだから国交の証となるだろうとレオナを諭す。レオナは自分が準備してきた政略結婚が丸潰れになった上、婚約者として見定めた姫に想い人が居たことも見抜けず、自分の本当の想いを見抜かれていたことにズタボロになりながらも王宮の使用人として働くユウの元へ向かう。公人としての自分がユウと一緒になるなんて許されるわけがないと思っていたのに状況がそれを許してくれている。何の前触れもなくレオナに「俺と結婚できるか」と問われたユウは二つ返事でオーケーし、そのままレオナはユウを連れて兄王の元へ向かう。そしてその場で二人が結婚することの許しを乞い、兄王は認めたことでユウは使用人からある日突然レオナの婚約者となることになった。
幸い、国にはレオナの結婚は東方の国との国交を結ぶための結婚としか報道されていなかったため、相手がユウに変わっただけでトントン拍子に結婚まで進んでいく。兄王もこれが本来あるべき姿としたため、王宮内での反対も起きなかった。何よりユウ自身に水の精霊の加護が付いていることが大きく、加護の恩恵を受けられると賛成する者が多数だった。ユウは自身が望まれているわけではない状況を理解し、レオナの隣に立つ存在としてレオナに恥をかかせないよう王族としての覚悟を学んでいく。レオナはレオナで婚約破棄の後始末やユウとの結婚に忙殺され、婚約したものの恋人らしい関係には至らぬまま結婚式を迎える。それでもユウはこの世界でレオナと添い遂げることができたことを喜び、様々な努力を重ね結婚式に臨んだ。そんなユウを見て、レオナはずっと秘めていた自身の想いをユウに告げ、これからはユウと夫婦として二人で生きていく決意を新たにする。
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