気分は最悪。
今日が出勤日だったら仕事は精彩を欠いて部下に迷惑を掛けていたかもしれない。オマケに心配までされてしまって余計サイアクな気分を味わいながら一日を過ごすことになっていたと思う。
メイクも落としてないし髪もそのまま。アクセサリーだって付けっぱなしで、寝るには窮屈すぎる服。
ふざけた夜から目を覚ませば、残ったのは悲しくなるくらい惨めな気持ちだった。
勇気を出して甘えてみたって、結果は惨敗。
昨日のメイクもそのままに、溢れてくる涙を抑えきれなくてひとしきり泣いた。こんなに泣くのなんていつぶりだろう、本当に小さい子どもだった頃以来な気がする。世の中の全てを知っている気でいたから、こんな風に取り乱して泣くなんて、ひょっとしたら子どもの頃ですら有り得なかったことかもしれない。
次から次へと止まらない涙を拭って漏れる嗚咽も我慢せず気が済むまで泣いた。一人暮らしは寂しいと思うこともあるけれど、こんな時は煩わしいことがなくて便利だなんて知りたくなかった。
喉がカラカラになるまで泣いて、泣いていたって仕方がないともそもそとベッドから降りる。そのままバスルームに移動して、身に着けたままで皺になってしまった服を脱いだ。アクセサリーも外して、下着も脱いでしまう。仕分けの籠に衣類を放り込んでから、お風呂場のドアを開けた。頭からシャワーを浴びてヘアスプレーを落としながら髪を洗う。適当に髪を纏めてからメイクを落として身体も洗った。湯船にお湯を溜めるほどの気力はない。取り敢えずの身なりは整っただろうとシャワーを止めてお風呂場から出た。
バスタオルを取り出して身体の水分を拭き取りながら鏡に自分の顔を映す。明らかに泣き腫らした酷い顔だけど仕方がない。身体にバスタオルを巻き付けて髪の毛を乾かした。そのまま寝室へ移動してクローゼットから新しい下着と着慣れた普段着を取り出して身に着ける。何も食べる気にはなれない。昨日のままになっているハンドバッグからスマートフォンを取り出して待ち受け画面を呼び出す。溜まっている通知を見る気にはなれなくて、全て無視してメッセージアプリを起動した。短く要件だけを打ち込んで、すぐに既読が着いたことにホッとして外出の準備をする。財布とスマホだけでいい。昨日のハンドバッグから財布を取り出してサコッシュに詰める。玄関に置かれたままになっていた鍵とスマホを手に持って家を出た。
場所は移動している内に決まるだろう。もし決まらなくたって取り敢えず会えれば後はどうとでもなる。目論見通りエレベーターで一階に下りている間に返事が来て集合場所も決まった。
当然だろう。きっと私からの報告を今か今かと待ち望んでいたはずだ。了解を伝えるスタンプと集合場所に向かう旨をメッセージで伝えて、スマホもサコッシュに仕舞った。エレベーターのドアが開いて俯いていた顔を前に向けて歩き出す。エントランスも抜けて早足で目的地までの道を急いだ。
星屑キラリ - 7/14
0
コメントを残す