「特別扱いして」
「…は?」
「…私のこと、特別扱いしてくれなきゃ、やだ」
ぎゅ、と白衣の生地を掴んで、紫穂ちゃんが俺の背中に呟いた。消え入りそうな小さい声に、どきりと心臓が跳ねる。
「それって、どういう」
「そのままの意味、よ」
こつり、と背中に額を押し当ててくる紫穂ちゃんは、一体どんな顔をしてるんだろう。知りたくても、何となく見ることが出来なくて、身体が固まってしまって。それでも、彼女の科白が期待させてくれる内容に、身体の熱は上がっていって。
「…自惚れても、いいの?」
「…勝手に、すれば」
ぎゅっ、ともう一度握られた白衣に、口許がにやける。ああもう、駄目だ。平常心なんてくそ喰らえ。
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