女王様の目覚め

出来心だった。棚の上に手を伸ばして無防備になった背中。夏の服装らしい一枚のシャツからチラリと覗く脇腹。目的のモノを見つけて満足気な顔をしているところを後ろから襲いかかる。

「ヒッ!ちょっ、何する!やめッ!」

指先でつつっと撫でただけなのに、この反応。びくりと震えてこちらを振り返る先生に、悪戯心がムクムクと芽生えてしまう。

「先生、脇腹、弱いの?」

にっこり、と悪い笑顔を浮かべて先生に迫る。先生は私に圧されたのか、まるで小動物みたいに身体を縮めて怯えている。ちろり、と舌舐めずりをして、先生に近付いて。

「日頃のお返し、させてもらうわね?」

こっちは散々煽られて鳴かされてグズグズにされているのだ。攻められる先生だって見てみたい。うふふ、と黒い笑顔で先生の脇腹に手を伸ばす。

「やっ、やめろって!」
「問答無用っ!」

必死に逃げようとする先生の服を掴んで抵抗を阻止する。そのままの勢いで服の中に手を突っ込んで脇腹を撫でた。

「ひゃっ!アッ!やめ、やめて!」

これは…とってもいい反応なんじゃない?ひーひー言ってる先生に、何だか新しい感情が芽生えてくる。力なくしゃがみこんだ先生を追い掛けて脇腹を撫でながら押し倒す。

「ちょっ、紫穂サン?」
「たまにはされる側も味わってみたら?」

脚の上に体重をかけて、動けないようにしてから、ばさりと服をめくる。脇腹だけじゃなく、先生の綺麗に割れた腹筋も、窪みがエロティックなお臍も空気に曝す。

「ふふ…無防備ね…」

つつつ、と腹筋に指を這わせれば、ひくひくと先生は震えて。

「ちょ!ヒッ!マジ無理!アッ、くすぐったいって!」

助けて、と叫ぶ先生を無視してこしょこしょと指先でそこかしこをイジメていく。

「くすぐったいは性感の入口だって言ってたのは誰だっけ?」

こてん、と小首を傾げて先生の顔を覗き込む。もちろん、手は止めない。

「ちょっ、ホント、くるしッ!息、できなッ」

笑いが止まらなくて死にそうになっている先生を見下ろしながら、尚も指先で至るところを撫でていく。抵抗を忘れた先生は目に涙を浮かべて、サディスティックを煽る目でこちらを見ていて。…本当に快楽に弱い人。身体を曲げて腹筋に口付けながら脇腹を撫でる。

「アッ、やめッ、これ以上は!」

笑い声が色めいたものになってきて、どきりとする。新しい扉を開くって、こういうことなのかしら?

「お、おねがっ、も、やめッ!しほッ!」

涙目で懇願されて、私の中で完全に何かが目覚めた。

「うふ、どうしようかなぁ?」

手のひらでさらりと腹筋を撫でながら、にこり、と笑った。

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