「あ〜……今日もつかれた……」
「ホント……どうしてこう……当直の日に限って馬鹿な怪我人ばかり運ばれてくるのかしら」
「マジでそれな……怪我人多すぎ……」
二人で肩を並べてハァと深く溜め息を吐く。
たまには深夜の当直中、紫穂ちゃんと二人で穏やかな時間を過ごしたい。
そんなささやかな願いは叶えられた試しがない。
それともアレか、神聖な職場に邪な感情を持ち込んでいる俺への罰だろうか。
「ねぇセンセ。このあとどうする? ご飯行く?」
「おー」
「じゃあ一緒に行こ? もうお腹ペコペコー」
さー着替えよ、と立ち上がった紫穂ちゃんに釣られて医局のソファから重たい腰を持ち上げる。
これはいつものパターンだと期待していいんだろうか。
いやいや流されるな、この前もあんだけ後悔したんだからもうしないって決めただろ。
いやでも。
「じゃあ着替えたらロビーで待ってるわね」
お迎えよろしく、と笑顔で立ち去る紫穂ちゃんにヒラヒラ手を振って自分も更衣室に向かう。
ご飯くらいはいいだろ。今日はないかもしれないじゃん。
諦めの悪い自分にそう言い聞かせてモヤモヤとした晴れない気持ちに見ないフリをした。
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