三回目のデート。帰り道、そろそろキメ時か、と人気のない公園へと誘う。怪しまれることも嫌がられることもなくて、心の中で小さくガッツポーズをしてからそっと紫穂の手に優しく指を絡める。これにも抵抗を見せないのに気をよくして、ベンチへと紫穂を誘う。もう誰もいない公園で二人きり。街灯だけが俺たちを照らしてて。やっべーマジで緊張してきた。紫穂は俺を不思議そうに見つめ返してきて。あれ、ドキドキとかしてないの?この状況でそんな冷静で居れちゃうんだ?それに気付くと何だかとても切なくなってきて。紫穂との距離を詰めるように肩を抱いた。君が、好きだよ、と呟いたその声は腹の底から振り絞ったみたいな掠れた声で。情けねぇな、と瞑目していると、パシャリと聞き慣れた音が耳に届いた。ん?と違和感に目を開けると、そこには携帯を構えた紫穂がいて。いや、なんで今写真撮ったの?と思わず聞いたら、一生の宝物にしようと思って、と見たことないくらい可愛い顔で紫穂ちゃんは答えた。
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