こんなに好きになる筈じゃなかったんだけどな、と紫穂が俺の背中に呟いた。思わず振り向くと、紫穂は何食わぬ顔で雑誌を読んでいた。何よ、と言われて、別に、と答える。仕事しながらぐるぐる考えて、やっと紫穂に問い掛けた。なぁ、さっきの。誰のことなんだ?先生には関係ないでしょ、と一蹴された
それから俺の戦いが始まった。紫穂が見ている男は誰なのかどれだけ調べてもわからない。とにかく紫穂を振り向かせるためにありとあらゆる手段を使った。だって皆本が相手だったら勝ち目ない。使えるなら反則技だろうが何でも使って絶対に紫穂を落としてみせる。どこの馬の骨ともわからん奴に渡すもんか
今日こそキめると意気込んだデートの日。紫穂もとびきり可愛い格好でやってきて。何かもうそれだけで舞い上がりそうだ。出会った頃は俺の腰くらいに小さかった女の子。こんなに大事な存在になるとは思わなかった。なぁこれからは俺だけ見てほしい。もう言葉じゃ伝えきれないくらい君のことが好きなんだ
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